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九州テレコム振興センター(KIAI)は内閣府認可の非営利型一般社団法人です

TEL. 096-322-0120

〒860-0016 熊本県熊本市中央区山崎町66番7号

会員向けWebマガジンKey-Eye

Key-Eyeとは?
 これからの九州の情報化推進に向け、ひとつの「鍵(Key)」となる、あるいは新たな「視点(Eye)」となる話題を提供していこうとする思いを込め、「Key-Eye」というネーミングにさせていただきました。

◆Key-Eyeあるメッセージ(ICT分野有識者による全4回のコラムを掲載)

【2024年度執筆者】
北海道大学名誉教授・総長特命参与
山本 強 氏

2024年度「Key-Eyeあるメッセージ」は山本様よりいただくこととなりました。第二回は、九州のみならず北海道でもデジタル関連の大きな話題となっている「半導体」をテーマに、ご自身の経験も通じた考察を寄稿いただきました。

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◆Key-Eyeあるトピックス(全国各地の様々なICT分野のトピックスを掲載)

塩尻市 企画政策部 副主幹(信州大学派遣)
国立大学法人信州大学 経営企画部経営企画課情報戦略室 参事幹
小澤 光興 氏

官民連携によるデジタル技術を駆使した都市機能の向上を図り、住民の多様なライフスタイルに寄り添える地域社会実現を早急に目指す、塩尻市デジタルトランスフォーメーション戦略の様々な取り組みについて寄稿いただきました。

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◆Key-Eyeある人(ICT分野で活躍されている産学官関係者の熱い思いを掲載)

「伊賀崎 伴彦 氏」
熊本大学 大学院先端科学研究部 医工学部門 医用福祉工学分野
教授

人の生体信号を解析し、定量的、客観的な感情評価を行えるシステムに関する研究開発について、伊賀崎氏より寄稿をいただきました。

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「荒牧 敬次 氏」
公益財団法人九州先端科学技術研究所(ISIT) 専務理事・副所長


永年のスマートシティ関連事業における従事経験を通じ、スマートシティ実現に向けた様々な構成要素等に関する考察について、荒牧氏より寄稿いただきました。

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◆Key-Eyeあるまちづくり(九州でのICTを活用した様々な地域づくりをご紹介)

「(公財)ハイパーネットワーク社会研究所」
所長 青木 栄二 氏

設立30周年を迎えたハイパーネットワーク社会研究所様より、これまでの30年の振り返りと、これからの30年に関する展望等について寄稿いただきました。

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【主要活動報告(令和6年5月~令和6年7月)】

                   
「令和6年度通常総会/記念講演会」


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【ICT関連データ】


 各種統計データ


【編集後記】

先日、2年ほど前の報道になりますが、ヒトゲノム(人間の全遺伝情報)の完全読解に成功したという話題を、ふと思い出す機会がありました。ヒトゲノムの読解に関しては、実はその20年ほど前に完全読解宣言が一度なされていたのですが、当時の技術では数パーセント程度、解読困難な部分が残っていたようです。この完全読解により、我々は、人の設計図に相当するものを手に入れたことになりますが、さて、このヒトゲノム、実はその構成(塩基配列)に関しては、99.9%がどんな人でも共通なものである、ということはご存じでしょうか。つまり、自分と他人との違いとは、ヒトゲノム構成上、たった0.1%しかない、ということになります。0.1%の違いをもう少し具体的な数で表せば、ヒトゲノムを構成する塩基数は約30億とされていますので、その0.1%、約300万個の塩基が違っているということになります。300万個を単独で聞けば、そこそこの多さを感じますが、全体数を鑑みれば、やはりわずかなものだと感じます。このように、我々人類とは生命設計図上、そもそも根本的違いは殆どない、ということなのに、なぜうまく理解し合えないことが多いのでしょう。私見ですが、人とは、自身が置かれた環境の違いの影響を何より強く受けるものであり、つまりは簡単に言えば人は「生まれ」の違いではなく「育ち」の違いによる影響を大きく受けるものだということではないかと思う次第です。
さて、かなり話が飛躍することになりますが、この考えはデジタル技術の活用という側面にも通じていくような気がします。というのも、オープンソースをベースとしたデジタル基盤技術は、これまでの間、多様に創出されてきており、現在のデジタル技術の大半はそういったもので構成されているといっても過言ではないのではないかと思います。99.9%とは言いませんが、基本設計図上、大きな差異はない多くのシステムに取り囲まれているのが現在のデジタル社会であるのかもしれません。そうすると、そのような技術を活用した新たな価値創出とは、まさに「生まれ」の違いではなく「育ち(本稿では、求められる課題解決に対し効率・効果的にデジタル技術を適合させていく行為と定義)」の違いに大きく関わってくるとも言えるのではないでしょうか。こう言ってしまうと、そもそもベンダーの違いは必要ないのか、ということになりそうですが、私的には、現在各ベンダーが提供しているシステム(仕組み)の違いとは、どちらかと言えば「育ち」の違いをいかにうまく進展させていけるか、という観点に寄っているケースの方が多いのではないか、と思うところです。同じようなシステムを導入したのに、どうして両者でその成果が異なるのか、それはまさに生まれの違いに頼り、きちんと育つということに至っていなかったから、ということなのかもしれません。このような観点から現在のDX(デジタル技術を活用した新たな価値創出)の展開を鑑みると、デジタルユーザーサイドにおいて大切な視点とは、「生まれ」の違いがわかるデジタル専門スキルというより、「育つ」ために必要な様々なビジネス関連スキルをより一層拡充していくことではないのか、と改めて感じます。
「育つ」ためには、時には「育てる」という環境も必要になるとは思います。生成AIをはじめとしたAIテクノロジーの進展とは、まさにこの「育てる」部分の大きな要因になっていると思います。中でもビジネスシーンもさることながら、このAIテクノロジーによる「育てる」環境の重要性が大きく関係してくるのが、我々個々人レベルでのデジタル技術活用場面ではないかと考えられるところです。
ただ、言うまでもなく、一番重要な視点は「育てる」のではなく、いかに育っていくか、ということです。育つためには前述したように求められる課題解決に必要な様々な関連スキルの拡充ということがまずは必要になってくるとは思われますが、何より大切なテーマは、「本質を理解する」、ということではないかと考えます。取り組むべき課題の本質、創出すべき価値の本質等々、つまりは育っていく方向をきちんと自身が理解するということではないでしょうか。文にするとこういうことはさらっと書けてしまいますが(笑)、実際に実践するのは中々大変なことだ、という点は容易に想像つきます。こういった、ものごとの本質を理解していくことを少しでも実践していけるよう、日頃から取り組んでみるべき、あるいは常に心掛けておくと良いのではないか、と個人的に思う考え方があります。それは、ご存じの方も多いかと思われますが、老子が残した格言「知人者智、自知者明(人を知る者は智なり、自らを知る者は明なり)」というものです。これは、他人を理解するということは一定の洞察力(智)を有するものであるが、自分自身をきちんと理解できるということは、それ以上により深い洞察力(明)を有するものである、ということを述べているものです。DX(DXに限ったことではないですが)を推進していく際の議論に良く出てくる、そもそも何を目指しているものなのか、何が問題なのか、何が課題なのか・・・、つまりはDXを推進していくための根本的な業務理解とは何なのか、といった内容は、いずれもそれぞれの本質を見極めていく、ということがその背景にあるわけで、そのためには何よりも深い洞察力が求められてきます。自分自身を知る、というある意味究極的な洞察力に関するこの老子の格言を実践できる能力を有する、ということは、デジタルの進展が加速していく現在社会において、これまで以上、我々に大きな糧をもたらす源となるのでは、と思うところです。
人類は、ヒトゲノムの完全読解に成功したところですが、ただこれは配列の読解に成功したということで、その配列がどういう意味を持つのか、どういう機能を持つのか、といったゲノムを「理解」する、ということまで到達できたわけではないようです。ヒトゲノムを読解できたからといって、人そのものの理解ができるようになった、ということではない、ということです。今後、ヒトゲノムの分野においても様々な本質部分に関する研究がさらに進んでいくのでしょうね。進展していくデジタル社会の中、我々も、単にデジタルの設計図だけを発展させていくのではなく、求めるべき(目指すべき)本質を常にしっかりと見据え、「育つ」デジタル社会を構築していく視点を持つことが何よりも求められているのではないか、ヒトゲノムの話題をふと思い出した際、そういう考えが浮かんだ次第です。

*これまでの編集後記(2016年度以降)


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